「ご契約内容の適正性に係わる点検について」のレポートを読んで
TN社から7月4日に発表された、「ご契約内容の適正性に係わる点検について」の感想を書きたい。
1,始めに、この莫大な件数の点検や返還事務処理を実施したのは代理店であり、保険会社はその代理店の労苦に対して戻し入れ手数料の若干の部分を負担しただけで、その労働の対価については一切負担していないのである
その上これを機会に代理店手数料を引き下げるチャンスと、踏んだり蹴ったりの扱いをしてきた。
保険会社と代理店は別の企業である。さも、おまえらが悪いからタダでやるのは当然だ!といわんばかりにコンプライアンス違反の脅しのもとに1年間タダで働かせたのである。
日本の損害保険販売は欧米と違って機関代理店という特殊なチャネルのウエイトが非常に高い。
保険会社の販売管理もそのチャネル別に整備され、きちんと統計が取られている。今回の「過大保険料事件」については、その合計の発生件数と返還保険料は発表されたが、チャネル別の数字は公表されていない。真にその原因を追及し、改善をしようとすれば機関代理店に特別に甘い保険会社の体質と制度について明らかにされなければならないと思われる。
しかし、公表される数字はいつも合計数字でしかないのである。
2,過大保険料を領収した原因は解決されたか
過大保険料の発生は、割引の漏れ、適用料率の誤り、保険金額の設定誤りの三つに分類されている。
主なものとなっているが、火災保険、自動車保険に限って言えばこれでほとんどをしめるだろう。
火災保険で言えば、地震保険、建築年割引の適用漏れ、高機能住宅割引の適用漏れ、省令準耐火割引の適用漏れ、構造級別の判定誤り、保険金額の過大な設定、などである。
火災保険の保険料は、「割引することができる」イコール「割引しなくても誤りではない」という暗黙のルール、また、代理店は社員から「保険料が間違って少ないと保険金が支払われない、多くもらっていたら分かったときに返せば良いと言う考え方が数十年にわたって社員も代理店もそう思ってきた。そのこと事態問題ではあるが保険会社がその考え方を容認してきたことが問題である。
報告書は、すべてシステムの不備やチェック態勢の甘さなどを原因としているが、もっと保険販売チャネルの構造的な問題に踏み込まなければ、システムの整備などだけに集中していると、代理店と契約者間での基本的な問題は解決されず、新しい問題が次から次へと出てくることになると思われる。
特に火災保険の分野では複雑化した内容は全く改善されず、システムの整備と言いながらより複雑な料率体系と評価と保険金額などの問題では矛盾を深めている。
法制化されたばかりの「住宅防災設備割引」は設備の割引が適用させていなければ注意喚起のエラーをかけなければ意味が無いと思われるのにそれさえ行われておらず、過収保険料問題の再生産が行われていると思われる。
自動車保険の分野でも、新しい「簡単にした」という商品と旧商品の併行販売が行われており年齢条件や担保内容で重大な相違点があるため、新しいトラブルの発生が予想できる。
結論的に言えば報告書で言う商品が複雑な状況は何ら解消されず、新しい紛争の種を発生させているに過ぎないと言える。
報告書の今後の対策の柱としている新しい募集人教育の講習やテストの内容を見ても内容が非常に難解なのが分かる。現役営業社員にテキスト参照不可でこのテストを受けさせたら果たして半分も合格しないのではないかと思われる。「社員は勉強不足だ!」と言っているのではない、難しすぎるのである。
保険会社は報告書や他の文書でも顧客とのトラブルが発生するとすべて「代理店が良く理解しおらず契約時の説明不足でした」でかたづけている。どう見ても顧客の無理な注文にすら「説明不足でした」と言っている。これでは何ら問題は解決しないのである。代理店にしてみれば、そんなケースまで説明する奴がいたら1日1件しか契約ができないくらい時間がかかってとっくに代理店など辞めているだろう。
保険契約というのは複雑なものなのである。非常に単純化した一部の共済商品でさえ一般の人には複雑であり、その複雑さ故に大部分の善意の人が保護されているのである。
その解決を、すべて「募集人」の説明不足の責任にし、解決策を「募集人」の教育とコンプライアンスの強化に求めている。
基本的に複雑さの解決は複雑さの解消と複雑さを理解してもらう保険会社の政策によるべきであり、今の方針はそのすべてを「募集人」に着せることで解決するように見せているように過ぎない。
一流大学をでた社員が考えたことを一流大学をでた募集人が説明して一流大学を出た契約者が説明を受けて保険を購入するというパターンを前提として考えられている気がしてならない。
振り込め詐欺がいつまでもなくならない。犯人から指示されているATMの操作の意味を理解できない人たちが沢山いるということを前提にシステムができあがっていないからだ。


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