抜本火災保険への疑問
2010年からの火災保険抜本改定の概要が発表になった。
内容を簡素化すると言うことで期待をもったが、読んでみて「何だ!これは契約者が置き去りにされている!」という感想であった。
詳細は発表されていないので分からないが
○構造級別判定の簡素化
○複雑な割増引の廃止・簡素化
そのほか保険金支払方法の一本化等々などが書かれている。
販売中止商品は積立商品や団地保険、店舗休業保険、家賃保険などを販売中止とするという。
また、現在の個人財産総合保険が補償の選択によって沢山のパターンがあるがどうも統一して一番広い補償のパターンにするようである。そのために抜本商品になって保険料があがるから今から一番高いパターンを売っておくようにとのことである。
ここまで読んで「少し考え方が違うのではないか?」と思った。
契約者がいろいろな補償を自由に選択できる複雑さと、よく分からない割引制度や法律に書かれたとおりの消火設備を作っても割り引かれなかったり、大手建築業者のために特権的な割引などが複雑に絡み合っている現在の「複雑さ」と一緒くたにして会社にとって都合の良い(儲かる)商品に一気にしてしまおうという魂胆が見えたからだ。
私のところは火災保険、傷害、賠責などの新種保険が収保の60%を占めている。しかし住宅物件のうち会社がこれに一本化するというもっとも補償の広いタイプにしている人はあまり多くないというより、きちんと説明したら保険料を比較してそれを選択する人はほとんどいないのが現状である。
たとえば、一般的な木造サイディング瓦葺き住宅 建物2000万円 家財 500万円の火災保険の契約について現在は補償の選択が13種類になる。
選択は水災、風災の補償内容、破損損害の担保の有無などが選択の内容であり、そのほかにいろいろな特約が選択できる制度である。そのうちの13種類をどうも一番広い補償の保険に集約してしまう考えらしい。
補償が広ければ当然に保険料は高くなる。ではどのくらい違うのだろうか。
○過去の住宅総合保険と同じ補償範囲のパターンの場合特約を一切付けないとして年間35,030円(埼玉県の場合)となる。
○風災の免責を3万円にした場合 36,590円
○水災のみを完全実損型にした場合 37,380円
○風災免責3万円、水災を完全実損型にした場合 38,740円
○その上に破損損害を補償したパターンにした場合 40,560円
○火災、破裂爆発、落雷のみ担保のパターンにした場合はなんと12,510円でしかない。
現在の契約のほとんどが住宅総合保険のパターンを引き継いでおり、風災や水災の心配があるところは完全実損型にしているのが実態である。
契約者のリスクの実態を考えずにいくつかのパターンに絞る様である。そのために今から高いパターンの保険に変更しろと言うことである。
ある高所得者の契約者に詳しく説明した結果、そのほかの損害が起きたら自分で十分カバーできるから火災破裂爆発落雷と地震保険で良いと言われ契約したこともあった。補償の範囲の選択というのはそれが複雑であっても保険を買う側が選択する権利をもつものではないだろうか。
契約者が危険を感じていない補償をセットにして「今年からこうなりましたから保険料が上がります」という論理はこの時代に通用しない。少しでも安いものを購入しなければ生活が守れない時代に入ってこのやり方はますます契約者を共済へ向かわせることにならないだろうか。
団地保険や家賃保険、休業補償保険はいずれも保険料単価が低いため廃止されるのだろうが、これも基本的な補償の種類であって代替の手段はない。
高い場所にある住宅に住む人に風災は納得できるが、水災の完全実損は選択肢に無いだろうし、破損損害についても免責5000円があるのでは魅力がなく。実際には家財についてはいろいろトラブルの元になるのは明らかである。
今いろいろ複雑なのは絶対に改善しなければならない。しかし、契約者からリスクの選択の自由を奪うような単純化は本当の単純化ではないし保険の進歩を妨げるような(契約者が保険から離れる)ことになりかねない。
旧東海社が超保険を開発したとき、そのコンセプトは契約者がリスクを自由に選択しダブらないように必要十分の保険を設計するということだった。それがこれからの保険であると言うことに大きな共感を持ったものだった。
まだ、商品の全貌が明らかになっていないので詳細については不明だが、契約者がリスクの選択ができることを残しながら、制度そのものを単純化する方法を是非とも考えてほしい。
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